
オーストリアの名門、ベーゼンドルファーが経営苦の末に身売りすることになった際 ヤマハがその 身請け先として名乗りを上げた。
今でこそピアノ界でそれなりの地位を手に入れたヤマハだが、かつて東洋の片隅で学校向けの足踏みオルガンを作っていた頃から、ベーゼンは憧れの人と見上げてきた存在だった。
そんな存在が身売りをする。
身売りをするということは、たとえ同じ名前でも、違う存在になってしまうかもしれないことを意味する。タタに買われたジャガーのように。そのことを誰もが覚悟していた。
当のベーゼンですらも。
そんなベーゼンに、ヤマハは驚くような破格のプロポーズをした。
「あなたがオーストリアでピアノを作り、その伝統と音を守り続けることに価値があるのです。わたしのプロポーズを受ければ、あなたは私の養子という立場にはなりますが 出来うる限りあなたがあなたのままでいられるように取り計らいます」
住む場所も名前も変えなくていい。あなたの家族(職人たち)とも別れなくていい。そのまま受け入れる―――
その言葉に、ベーゼンはヤマハの手を取った。
2008年1月 ベーゼンドルファー社、YAMAHAの子会社となる
「たとえばこんなプロポーズ。」アルファルファモザイク
文化が消えればビジネスは成り立たない。
ヒーローがいなければ、シーンは成り立たない。
いまの音楽業界に、コンテンツビジネス全体に、このヤマハの姿勢について熟考して欲しい。
















